大阪万博のロゴ、みんなが子供のように「こんな風にも見えるよ!」と自由な感覚を素直に見せ合うワークショップのよう。私は凄く好き。 そのプロセスにいのちの輝き感じる。それぞれの見え方を受け止める環世界的なデザインと考えてみると面白い。
誰かが作った図案を神聖なものとして大事に扱うデザインのあり方もいいけど、それぞれの見え方を重ねることのできるデザインの世界も良いと思う。 運営やデザイナーは想定外で、戸惑ってたりもするかもだけど、発生した表現をノイズとして邪険にせず、いのちの輝きと捉えて取り込んだらきっと楽しい。
たくさんの自由な創作物が出る一方、公式チームでじっくり取り組もうとしてることが、SNSで先読みされて、どんどん実現されてしまうのは、作り手にとっては急かされてるようでやや辛そう。
元々のプランで考えてたことを先に誰か発表してしまった場合、どうしても真似した感が出てしまうの辛そう。最初のアイディアの発生箇所が、公式チームであることを示すための何かが必要になる時代なのか。 また「これは思いつかなかった…!」というものを見かけてしまった時の関わり方も難しそう。
でも、そもそも完璧なデザインなんて本当は無理で、何かの問題に対して何かを作れば、必ず違う立場や視点では新しい問いや問題が生まれる。完璧であるかのようにショーケースに入れるのではなく、社会の中でみんなであーでもないこーでもないとワイワイ微調整し続けたい。
About The Author
清水淳子 | shimizu junko
デザインリサーチャー / 情報環境×視覚言語の研究 / 2009年 多摩美術大学情報デザイン学科卒業後 デザイナーに。2013年Tokyo Graphic Recorderとして活動開始。2019年、東京藝術大学デザイン科修士課程修了。現在、多摩美術大学情報デザイン学科専任講師として、多様な人々が集まる場で既存の境界線を再定義できる状態 “Reborder”を研究中。著書に「Graphic-Recorder-―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書」がある。 twitter@4mimimizuでも日々色々と発信してます。