デザインの始まりについて考えてみる

「デザインという概念の始まりについて説明できるか?」という質問を受けたことがある。この質問を受けて誰にでもわかりやすく上手に答えられるデザイナーって全体の何パーセントくらいなんだろう? 私は正直いうと、その時ちゃんとに説明できてなかった。「そうですね、大昔からデザインはありますよ、例えば縄文土器もある意味デザインですね〜」そんな適当すぎる感じだった。

確かに、デザインで行うメインの作業は、「構想、造形、設計」だ。なので、縄文土器が人間によって「構想、造形、設計」されていたというのは、間違いない。合っている。しかし、ここで答えなくてはいけないのは、「人間がいつから構想、造形、設計していたか?」ではなく、「歴史上でのデザインという概念の始まり。」だ。その答えとしては、縄文土器は完全に間違いだ。明確な答えが存在している。

では、現代まで続く、デザインの概念の始まりはいつなのか? それは19世紀の中頃、今から約150年前、舞台はヨーロッパ。産業革命がきっかけだと言われている。 産業革命の技術の進化によって大量生産を実現できるようになった一方、粗悪な商品も生活の中に数多く出回るようになった。その状況に対して「なんとかしなくては!」と美意識を震わして立ち上がった様々な運動が、現代まで続くデザインの文脈の始まり。ざっくりいうとこんな感じだけど、前回の記事の中で紹介したデザインのデザインの3ページから26ページに、もっと美しい言葉で丁寧にわかりやすく凝縮して記されているので、気になる人はそちらも読んでみてほしい。

この様々な運動は、「近代から現代までのデザイン史入門」によると、主に2つの方向性があったようだ。

1-過去へのあからさまな回帰→粗悪な工業製品を、改良された手工の良質品と取り替えていく。

2-現状の製品をよりよく造形するための工夫を考える→工業製品を機械の作り方の条件に調整して、値ごろで長持ちする美しい製品を作り出す。

この2つ。後者は今でも知ってるデザインのスタイルを感じるが、前者は非常に過激である。激しい!

デザインは課題解決、アートは問題提起と言われているが、このデザインのはじまりを覗いてみると、デザインは産業革命が巻き起す社会や生活の変化に対しての激しい問題提起がベースにあるように感じる。デザインとアートは別物だというのもよくわかるが、根底の部分は繋がってるような気がしてる理由が少しだけ明らかになる気がした。

そして今。2017年はきっと歴史的にみると、人類史上ありえないスピードでの情報革命の真っ只中だ。もし今の時代に、産業革命に流されずデザインの始まりを作った彼らのような気持ちで生きるとしたら、私はデザイナーとして、どんな問題提起と課題解決を考えるのか?

そう考えてみると、激しい変化がある時代に生まれたこと。その中でデザインしてることが、ハードだけど、素晴らしいチャンスに思えるし、楽しくなってくるような気がする。

デザイン史は調べれば調べるほど、とても深い。名品を辿る「モノ」の話だけではなく、その背後にある、「技術に対して、人間の感受性がどう対応してきたかの物語」とも考えられるような気もする。今はあまり詳しくないので、もっと調べて、いつかデザイン史の絵本を書いてみたいな、と思う。

近代から現代までのデザイン史入門―1750‐2000年 トーマス ハウフェ 

モダン・デザインの展開―モリスからグロピウスまで ニコラス ペヴスナー

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About The Author
           

清水淳子 | shimizu junko

1986生まれ。2009年 多摩美術大学情報デザイン学科卒業後 デザイナーに。2013年Tokyo Graphic Recorderとして活動開始。2019年、東京藝術大学デザイン科修士課程修了。現在、多摩美術大学情報デザイン学科専任講師として、多様な人々が集まる場で既存の境界線を再定義できる状態 “Reborder”を研究中。著書に「Graphic-Recorder-―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書」がある。 twitter@4mimimizuでも日々色々と発信してます。

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