10才の松ぼっくりビジネス

私が人生で初めてトライしたビジネスは、小学校4年か5年の時に、海に落ちてる松ぼっくりを拾って、銀のスプレーで塗って、ビーズをつけて、クリスマスツリークリスマスツリーにして、実家の店先でひとつ200円で売ってたこと。なんでもないものに付加価値を付けてお金と交換してもらう感覚を学べた気がする。

売り場の場所代や、たまに売り子を代行うする人への手数料な ど、リアルなビジネスモデルには及ばないけど、誰も注目しないマテリアルを組み合わせて何かの意味を作る楽しさをこの時に知った感じする。銀のツリーのあとに、金を作ってみて、そっちはあまり人気じゃない。とかABテストしたり。

松ぼっくりのツリーは透明のビニールに入れてシール貼ってて、小綺麗に仕上げてた。そのあと空き瓶にビーズを貼ったニュープロダクトも作ったけどその後、弟の提案でミニ四駆を仕入れて売る取り組みが始まり、その売り上げには松ぼっくりツリー及ばず、私も6年で思春期になりツリー職人を引退した。

自分でゼロから発見した付加価値を温め市場を広げるよりも、今市場で受け入れられてる商材を短期的に取り入れることで、桁が違う売り上げになることを目の当たりにして、ビジネスの面白さと切なさを感じた。

今、何をやってるかというと、基本はあまり変わらず。流れに乗ってミニ四駆的なものを取り入れるのも悪くないけど、私は誰もいない場所で松ぼっくり的なものを拾って、余ったスプレーで何かに変えてみる。結局、そんな時間が一番好きなのかもしれないな。

この話で何が一番凄いかというと、謎のツリー販売チャレンジを許可した親だな。。。「みっともないから辞めなさい!怒った顔」ではなく、当たり前のように並べてくれた。私もそういう若者の謎チャレンジを許容/サポートできる大人でありたいと思う。

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清水淳子 | shimizu junko

デザインリサーチャー / 情報環境×視覚言語の研究 / 2009年 多摩美術大学情報デザイン学科卒業後 デザイナーに。2013年Tokyo Graphic Recorderとして活動開始。2019年、東京藝術大学デザイン科修士課程修了。現在、多摩美術大学情報デザイン学科専任講師として、多様な人々が集まる場で既存の境界線を再定義できる状態 “Reborder”を研究中。著書に「Graphic-Recorder-―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書」がある。 twitter@4mimimizuでも日々色々と発信してます。

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